営業の世界には、数字を出し続けるトップセールスが必ずいます。彼らの仕事ぶりをよく観察すると、ある共通点に気づきます。メールや電話に加えて、SMSを巧みに使いこなしているのです。しかも、企業の代表番号ではなく「090」や「080」で始まる個人の携帯番号から送っている。なぜ彼らはこのスタイルにこだわるのか——その理由を掘り下げます。
「090」から届くSMSが持つ、独特の力
企業の固定番号や知らない番号から届くSMSは、どこか「業務連絡」の匂いがします。一方、「090-XXXX-XXXX」という携帯番号からのSMSは、受け取る側に「個人から届いた」という印象を与えます。
これは心理学的に大きな意味を持ちます。人は組織より個人からのメッセージに反応しやすい。「会社」ではなく「人」として接触することで、相手の警戒心が自然と下がるのです。トップ営業がこのことを意識しているかどうかは別として、結果として「090」からのSMSが顧客との距離を縮める効果を生んでいます。
名刺交換の翌日に送る「一行SMS」
保険営業で全国トップクラスの実績を持つCさん(45歳)は、名刺交換した翌日に必ずSMSを送ることを習慣にしています。内容はシンプルです。
「昨日はありがとうございました。〇〇生命の田中です。何かお役に立てることがあればいつでもご連絡ください。」
たったこれだけです。しかしこのSMSが、後の商談を大きく左右するといいます。「翌日にSMSが来た」という事実が、相手の記憶に残る。そしていざ保険を見直したいと思ったとき、真っ先に思い出してもらえる存在になるのです。「メールより確実に読んでもらえるし、LINEより押しつけがましくない。SMSはちょうどいい距離感なんです」とCさんは語ります。
「電話の前のSMS」で通話成功率が3倍に
不動産投資営業のDさん(33歳)が実践するのは、「電話の前にSMSを送る」というアプローチです。いきなり電話をかけても出てもらえないことが多い中、事前に「本日15時ごろお電話させていただきます。株式会社〇〇のDです」とSMSを送っておくだけで、通話成功率が劇的に改善したといいます。
「知らない番号からの着信はほとんど無視されます。でもSMSで予告しておくと、相手が電話に出る準備ができる。『ああ、さっきSMSが来た人だ』となって出てもらえるんです。」この一工夫で、Dさんの月間アポイント数は以前の約3倍になったといいます。
失注後のフォローに使う「温度感を保つSMS」
トップ営業が特に力を入れるのが、失注後のフォローです。一度断られた顧客へのアプローチは難しいですが、SMSなら自然な形で接点を維持できます。
法人向けソフトウェア営業のEさん(40歳)は、失注から3ヶ月後に「先日はご検討いただきありがとうございました。その後いかがでしょうか。お役に立てることがあればいつでもお声がけください」とSMSを送ります。電話やメールでは「しつこい」と感じられるこの接触も、SMSなら返信不要のトーンで送れるため、受け取る側の負担が少ない。
Eさんの場合、このフォローSMSから半年〜1年後に再商談につながるケースが毎月数件あるといいます。「断られた顧客こそ、丁寧に関係を続けることが大切。SMSはその最良のツールです。」
顧客の誕生日・記念日に送る「特別な一通」
トップ営業の多くは顧客の誕生日や契約記念日を把握し、その日にSMSを送ります。「〇〇様、お誕生日おめでとうございます。いつもありがとうございます。」これだけで、顧客との感情的なつながりが深まります。
ポイントは「売ろうとしていない」ことです。何も要求しない純粋なお祝いのメッセージだからこそ、受け取った側は純粋に嬉しい。そしてその嬉しさが、長期的な信頼と紹介につながっていきます。
SMSは「売り込み」ではなく「存在感」を届けるツール
トップ営業のSMS活用に共通するのは、「売ろうとしていない」という点です。感謝を伝える、気遣いを届ける、存在を思い出させる——こうした目的でSMSを使うことで、顧客との関係が自然に育まれていきます。
「090」から届く一通のSMSが、ときに数百万円の商談の入口になる。それがトップ営業の現実です。メールでも電話でもない、SMSという「ちょうどいい距離感」のツールを使いこなすことが、これからの営業に求められるスキルのひとつになっていくでしょう。