私がSMSサービスの開発に携わるようになったのは、今から10年以上前のことです。当時は「ショートメッセージなんてガラケーの時代のもの」と思っていました。しかし、その後の10年は、SMSというシンプルなツールに振り回され、悩まされ、そして救われ続けた日々でした。
始まりは「なんで今さらSMS?」という疑問
2014年頃、所属していたIT企業でSMS送信APIの開発プロジェクトが始まりました。正直、最初は乗り気ではありませんでした。スマートフォンが普及し、LINEやメールが全盛の時代に、なぜわざわざSMSなのか。そう思いながら仕様書を読み込み、通信キャリアのガイドラインと格闘する日々が始まりました。
最初の壁は「到達確認」でした。SMSはメールと異なり、キャリアをまたいだ送受信に微妙な差異があり、ある端末では届くのに別の端末では届かないという現象が頻発しました。ログを追い、テストを繰り返し、原因を特定するまでに数ヶ月かかったこともあります。
「使えない」と言われ続けた時代
リリース後も苦労は続きました。クライアントからは「文字数が少なすぎる」「絵文字が使えない」「画像が送れない」という声が相次ぎました。「これだったらメールでいい」「LINEの方が便利」という比較もよくされました。
それでも、ある金融系のクライアントから「二段階認証にSMSを使いたい」という相談が来たとき、状況が変わり始めます。メールアドレスを持っていない人や、スパムフォルダに振り分けられる問題を抱えていた企業にとって、SMSは「確実に届く手段」として再評価されていたのです。
規制との戦い
転機のひとつは、特定電子メール法の改正と、それに伴う迷惑SMS対策の強化でした。フィッシング詐欺の温床として社会問題化したSMSは、キャリア側の規制が年々厳しくなっていきました。
正規のビジネス用途でも、送信内容や送信元によっては突然ブロックされることがあり、その都度キャリアへの説明と解除申請に追われました。「悪用する人たちのせいで、真面目な事業者が割を食う」という理不尽さに、何度も壁を感じました。
それでもSMSが選ばれる理由
苦労が多い一方で、SMSには他のどのツールにもない強みがあります。それは「電話番号さえあれば届く」というシンプルさです。
スマートフォンを持っていない高齢者にも届く。アプリのインストールが不要。既読確認などのプレッシャーがない。そして、開封率がメールの数倍に達するというデータもあります。行政機関や医療機関、金融機関などが導入を進めているのは、この「確実に届く・読まれる」という特性があるからです。
10年を振り返って
SMSに関わった10年間は、技術的な困難とビジネス的な葛藤の連続でした。しかし今振り返ると、この「制約の多いシンプルなツール」と向き合い続けたことで、「本当に必要なものは何か」を常に問い直す習慣が身についたように思います。
SMS送信.comは、そんな経験の中から生まれたサービスです。難しいことをなるべくシンプルに。使う人の負担をできる限り少なく。その思いを込めて、これからも開発を続けていきます。