宅配便業者を装った「不在通知」の偽SMS(ショートメッセージサービス)を使った詐欺が横行している。

被害相談は全国で4000件以上。昨年の2倍のペースで急増しており、国民生活センターが2020年11月26日、注意を呼び掛けた。いったい、どんな手口なのか――。

SMS不在通知詐欺とは

SMS不在通知詐欺とは、宅配業者を装ったSMS詐欺のことです。 実際に、佐川急便や日本郵便などを装い、不在通知を装った詐欺メールが送られてきた事例があります。 SMS不在通知詐欺は不特定の電話番号から送られ、一見すると本物の不在通知のように見えます。

事例

【事例1】「不在通知」のSMSが届きリンク先にアクセスしたあと、海外宛てにSMSが 100 回以上送信されていた
スマートフォンに宅配荷物の不在通知のSMSが届き、確認するためリンク先にアクセスした。すると何かダウンロードする画面になったが、すぐ元に戻ったので静観していた。数日後、見知らぬ複数の相手から電話の着信があり、不在配達の荷物の受け取りについての申し出を受けたので「私は無関係だ」と伝えて電話を切った。その後、電話番号を変更するため携帯電話ショップを訪れ、請求内容を確認すると、SMSが届いて以降、私の電話番号から海外宛てにSMSが 100 回以上送信されており、通信料を1万円以上請求されていた。(2020 年8月、40歳代男性)

【事例2】「不在通知」のSMSを受け取りブラウザの更新をしたら、海外と国内宛てにSMSが送信されていた
宅配便の不在通知のSMSを受け取り、記載されているURLにアクセスすると、ブラウザのアイコンが出てきて「更新してください」とあったので更新してしまった。この時に不正アプリをインストールしてしまったようだ。その日のうちに知らない人から「いつ配達できるか」といった内容の電話が多くかかってきた。その後、携帯電話会社から請求書が来たので、明細を確認すると海外宛てのSMSが 100 通、国内宛ても 100 通ほど自分のスマホから送られていた。送信されたSMSの料金が1万円以上となっており、支払いたくない。(2020 年8月、30 歳代女性)

【事例3】「不在通知」のSMSに記載されていたURLにアクセスしたあと、キャリア決済で電子マネーを購入されていた
数か月前にスマホに宅配便の不在連絡のSMSが届いたので、記載されていたURLにアクセスした。その時に何を入力したのか明確には覚えていないが、氏名などの個人情報を入力して返信してしまったようだ。その後、約 11 万円がキャリア決済されていて、電子マネーが購入されていることがわかった。(2020 年5月、40歳代男性)

【事例4】「不在通知」のSMSが来てIDなどを入力したら、プラットフォームで決済されてしまった
宅配便業者から不在配達のSMSが来て、URLをクリックしたらホームページが出てきた。そこにプラットフォーム事業者のID、パスワードを入力したら、約9万円をプラットフォームで決済されてしまった。もうお金は戻らないだろうか。(2020 年4月、40歳代男性)

SMS詐欺から身を守る方法

「SMSやメールで『不在通知』が届いても、記載されているURLには安易にアクセスしないようにしましょう」

   しかし、厄介なのは、実際にSMSによる「不在通知」を行っている宅配便業者がいることだ。SMSが宅配便業者からの正式なものかどうか、すぐに見分けることは困難だから、自分で宅配便業者の電話窓口や公式ホームページで真偽を確認することが大切だ。

   また、もし不用意にURLにアクセスした場合でも、

「提供元不明のアプリをインストールしたり、ID・パスワードなどを入力したりしないようにしましょう。自分のスマホに不正なアプリをダウンロードしてインストールしてしまうと、自動的にSMSが任意の宛先に送信されるなどの被害に遭うおそれがあります」